日本財団 図書館


 

制度の確立並びに技術的課題の解決等が必要とされるという事情もある。

(3)今後の検討推進課題

上記のような規制緩和推進の方向の中で、各省庁は、書類の電子データによる保存及び申告・申請手続の電子化・ぺーパーレス化を円滑に進めるための推進体制を整備することが求められ、その際、民間の利便性向上等の観点から、省庁間の連携・協力の確保も必要とされた。これら問題は行政側のメリットというより国民、民間等にとってのベネフィットである点が重要である。それは、高度情報通信社会において行政の運営及びサービスの提供が電子化し、ネットワーク化していくことが不可欠であり、それが国民生活の向上、経済社会の発展への貢献につながるからに外ならない。今後は、以下のような課題の解決に向けて、総務庁を中心として政府全体で検討を進め、規制緩和の実施範囲を拡大していくべきである。

?@ 電子保存に関する技術的課題

書類の電子データによる保存に関する技術的な課題が解決されないと、現在、各省庁で電子化の実施が困難とされている案件の電子化の進展が期待できないことは、高度情報通信社会推進本部制度見直し部会における議論、およびその報告書から明らかである。その際に解決されなければならない事項として挙げられた電子媒体の要件は以下のとおりである。

* 真正性:データの故意又は過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止できる。

* 見読性:データの内容を必要に応じ肉眼で見読可能な状態に容易にできる。

* 保存性:保存期間内において復元可能な状態でデータを保存できる。

上記特性を確保するためには、改ざん防止、暗号技術を活用した電子データの内容等の認証等、特に、刑事訴訟、民事訴訟等の訴訟における証拠能力・証明力について考慮することが必要である。犯罪等の捜査という特別なケースにおいては、「書類には筆跡、印影、紙の状態等上記に掲げる書類にはない特徴があるので、事実の証明及び確認並びに犯罪等の調査及び捜査等の観点から、これらの情報の確保に留意する必要がある。」

以上の技術的な検討は、各省庁が規定している文書の保存規定の内容およびその必要条件等によって異なるが、基本的な課題は共通していると考えられ、その解決方策に向けた調査研究を総務庁を中心として政府全体として推進する必要があろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION